1月 14 2012
さかさまりすのしっぽ 01
とある地方駅の駅員室で、滅多に聞かない非常ボタンが押された際に鳴る警告音が鳴り響いた。
「ん!?何だ!?」
ワンマン体制のこの駅で、林田という若い駅員は慌てた。
そろそろ特急電車通過のため、ホームに電車が入る予定ではあり、そのアナウンスを流したところであった。その直後の予想外の警報をどう止めればいいのかを初めに考えた。それから「いや、今は緊急時だからとりあえずホームに向かおう!」と考え直し、大慌てでやっと駅長室を飛び出た。温かい駅長室では忘れていたが、外は積雪が激しいほどに気温が低かった。駅の屋根からはところどころつららも垂れ下がっている。
とにかく、寒さに足元を絡められながらホームに向かう。地下へ下り、また上る。上りきったと同時に、特急電車が通過した轟音が響いた。緊急ボタンの信号では、特急側は減速するまで間に合わなかったということだ。はらはらとした気持ちで、ホームを見回す。
すると女子中学生くらいの子が駆け寄り、非常に動揺したように慌てて腕を引っ張った。
「え、駅員さん!こっちだよ!おじさんが電車に轢かれたの!こっち!」
「え、ええええ。」
もちろん林田の短い駅員人生の中でこんなことは始めてであり、大事件である。正直な話、あまり現場には行きたくはない。……現場を見たいなど、全くもって思わない。
しかしこれも駅員の義務なので、渋々その女子中学生について行く。
その頃には既に特急電車は通過した後であった。
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